名盤ライブ Vol.3
Sweet 16
佐野元春
2022年11月23日 (水•祝)
KT Zepp Yokohama
2022年11月27日 (日)
Zepp Namba (OSAKA)
KT Zepp Yokohama
2022年11月27日 (日)
Zepp Namba (OSAKA)
Sweet 16
佐野元春
-
#01
ミスター・アウトサイド
-
#02
スウィート16
-
#03
レインボー・イン・マイ・ソウル
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#04
ポップチルドレン
(最新マシンを手にした陽気な子供達) -
#05
廃墟の街
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#06
誰かが君のドアを叩いている
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#07
君のせいじゃない
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#08
ボヘミアン・グレイブヤード
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#09
ハッピーエンド
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#10
ミスター・アウトサイド(リプリーズ)
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#11
エイジアン・フラワーズ
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#12
また明日…
会場および配信特典BOOK&DVD
01
THE LIVE
ステージ後方のスクリーンに映し出された映像のなかで、「生ものですのでお早めにお聴きください」という言葉とともに届けられたCDを、20世紀的なミニコンポのトレイに載せスタートボタンを押すと、30年のタイムスリップ。
春の嵐の雷鳴から始まるアルバムの、再現ライブの始まりだ。
もっとも、それを受け取るこちらも30の歳を重ね、多少なりとも経験を積んだりしたから、以前とは違う聴き方をしたところがあったかもしれない。結果、“甘く切ない16歳をタイトルに掲げていながら、このアルバムは人生というものの暗示のようだ”と感じられたのだった。
例えば期待とも不安とも言えない予感をはらんだ「ミスターアウトサイド」に続いて、古田たかしがフロア・タムを力強く刻む「Sweet 16」冒頭のビートは初夏の空に湧き上がる入道雲のような青春期の高鳴りを思い出させ、音源でのトロンボーンに代わってトランペットとテナーサックスのデュオ・スタイルで聴かせた「ボヘミアン・グレイブヤード」の間奏は、“僕はどこにでも行けるけれど、どこにも行けない”という苦さを含んだクールな現実認識を際立たせた。だから、この日の会場で佐野と満員のオーディエンスが取り交わしたのは、過ぎ去った過去を懐かしむノスタルジーではなく、30年という時間をそれぞれに潜り抜けて今を生きている者同士の共感だったのかもしれない。
「30年後にこんなライブをやれるとは思ってもいなかった」と佐野はMCで話したが、なにせアルバムの初回盤には「生ものですのでお早めにお聴きください」と書かれていたくらいだ。が、その音楽の賞味期限はかくも長かった。
否、賞味期限という表現は正しくないだろう。佐野がこのライブで明らかにしたのは、名盤とは何度でも新しく生まれる作品であるということだ。しかも彼は、このライブのために編成されたスペシャル・バンド“Sweet 16 Grand Rockestra”と一体となったタフでしなやかなライブ・パフォーマンスを通して、その真理をオーディンエンスに伝えた。
それは彼が、1980年のデビュー以来ずっと変わらずやり続けてきたことでもある。すなわち、示唆に富んだポップ・アルバムを作り、その含意をライブの現場でオーディエンスと共有する。良い楽曲、充実したアルバムと濃密なライブ体験との好循環がまた繰り返されたのだ。
Happy Birthday『Sweet 16』and Tomorrow!
30年前の作品の再現が確かに未来に通じていると感じられた、特別な時間だった。
演奏メンバー
佐野元春(Vo/Gt)
長田進(Gt)
藤田顕(Gt)
井上富雄(Ba)
Dr.kyOn(Key)
渡辺シュンスケ(Key)
古田たかし(Dr)
スパム春日井(Per)
山本拓夫(Sax)
西村浩二(Trp)
佐々木久美(Cho)
TIGER(Cho)
春の嵐の雷鳴から始まるアルバムの、再現ライブの始まりだ。
もっとも、それを受け取るこちらも30の歳を重ね、多少なりとも経験を積んだりしたから、以前とは違う聴き方をしたところがあったかもしれない。結果、“甘く切ない16歳をタイトルに掲げていながら、このアルバムは人生というものの暗示のようだ”と感じられたのだった。
例えば期待とも不安とも言えない予感をはらんだ「ミスターアウトサイド」に続いて、古田たかしがフロア・タムを力強く刻む「Sweet 16」冒頭のビートは初夏の空に湧き上がる入道雲のような青春期の高鳴りを思い出させ、音源でのトロンボーンに代わってトランペットとテナーサックスのデュオ・スタイルで聴かせた「ボヘミアン・グレイブヤード」の間奏は、“僕はどこにでも行けるけれど、どこにも行けない”という苦さを含んだクールな現実認識を際立たせた。だから、この日の会場で佐野と満員のオーディエンスが取り交わしたのは、過ぎ去った過去を懐かしむノスタルジーではなく、30年という時間をそれぞれに潜り抜けて今を生きている者同士の共感だったのかもしれない。
「30年後にこんなライブをやれるとは思ってもいなかった」と佐野はMCで話したが、なにせアルバムの初回盤には「生ものですのでお早めにお聴きください」と書かれていたくらいだ。が、その音楽の賞味期限はかくも長かった。
否、賞味期限という表現は正しくないだろう。佐野がこのライブで明らかにしたのは、名盤とは何度でも新しく生まれる作品であるということだ。しかも彼は、このライブのために編成されたスペシャル・バンド“Sweet 16 Grand Rockestra”と一体となったタフでしなやかなライブ・パフォーマンスを通して、その真理をオーディンエンスに伝えた。
それは彼が、1980年のデビュー以来ずっと変わらずやり続けてきたことでもある。すなわち、示唆に富んだポップ・アルバムを作り、その含意をライブの現場でオーディエンスと共有する。良い楽曲、充実したアルバムと濃密なライブ体験との好循環がまた繰り返されたのだ。
Happy Birthday『Sweet 16』and Tomorrow!
30年前の作品の再現が確かに未来に通じていると感じられた、特別な時間だった。
演奏メンバー
佐野元春(Vo/Gt)
長田進(Gt)
藤田顕(Gt)
井上富雄(Ba)
Dr.kyOn(Key)
渡辺シュンスケ(Key)
古田たかし(Dr)
スパム春日井(Per)
山本拓夫(Sax)
西村浩二(Trp)
佐々木久美(Cho)
TIGER(Cho)